帰ってきたなのフェイSSが一番!!
モフモフ♪
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第7話「すれ違い。そして……その1(SIDE:L)」
2人が出会って友達になって、そしてお互い恋をして。
ようやくお互いの気持ちに気付けて恋人同士の関係に。
多少のズレと困難はあったみたいだけど……
それなりに順風満帆に進んでいた2人の関係。
だけど、そこに亀裂が起こった事を私は知る事になる。
なのはさんの言葉をきっかけに……
本局人事部の一室。この所の事件発生の増加に伴って残業が増え続けている今日この頃。慌ただしい日々にあってなのはさんとはやてさん、そして愛義娘のフェイトの3人を招集にかけるのをなるべく避けるように私、リンディ・ハラオウンはデスクのモニターを睨みながら悩んでいた。
「……どうしたものかしらねぇ?」
ポツリと零れたるその言葉も、今日で何度目かも解らない。ただ、刻一刻と時間だけが過ぎていくばかり。今回私が悩んでいるのは、ロストロギア……それも一級手配クラスの案件に対してSランク……つまり、フェイト達のように局内でも一線級の魔導師が2人以上必要なほどの危険な案件。すでにレティの方からヴォルケンリッターの面々の参加は決まったとの報せは受けてるけど、それでもあと一人、確実にと考えてしまう。だけど、3人とも出席日数の事もあるからあんまり頼めないのよねぇ……
「はぁ……困ったわぁ」
“ズズズ……”
「ふぅ……」
ため息ばかりだと先に進めないし、一旦一休み。そう思っていつものお茶を手にしてゆっくりと啜る。
“ピピッ ピピッ”
「あら?」
フッと一息ついたと同時に、通信が入る。どうしたのかしら?
“ピッ”
「はい、リンディです」
『あ、リンデ統括官。高町二等空尉がいらっしゃってるんですが……』
出ると、通信士の女の子が少し困惑気味に私にそう告げる。何かあったのかしら?
「なのはさん?」
『はい。それでリンディ統括官にお会いしたいと……』
「私に?」
『はい』
「そう。だったら通してあげて」
『かしこまりました』
「こんな夜更けにどうしたのかしら?」
なのはさんには卒業までは仕事を回さないという話もしてるし、自由待機という形でちゃんと説明もしてるはずなんだけど……
「まぁ、話をすれば解るでしょう」
それから程なくしてなのはさんは私の部屋へとやって来た。
「失礼します」
「いらっしゃい、なのはさん」
(あら?)
入ってきたなのはさんの表情を見て、私はすぐになのはさんの状態が尋常じゃない事に気付く。その表情はとても落ち込んでいて、目は泣き腫らしたのか真っ赤に充血してしまっていた。こんななのはさんを見るのはいつ以来かしら? だけども、これで通信士の子が困惑気味だったのが解った気がする。確かに、普段の凛とした佇まいのなのはさんからすれば、それに困惑してしまうのも仕方ないかもしれないわね。
「それで、こんな夜遅くにどうしたのかしら? それに、何だか泣いてたみたいだけど」
「あの……実は、何か仕事がないかなって思って……」
「仕事?」
思わぬ言葉に私は思わず唖然としてしまう。確かに、普段から仕事熱心だし頑張り屋さんだとは思うけど……自分の状況を鑑みずにこんな事を言うなんて、一体何があったのかしら?
「はい。何でもいいんです。とにかく、何か無いですか?」
「それは構わないけど……どうして急にそんな事を言うのか、教えてもらえないかしら?」
覇気の無い表情、気力のない声。こんな状態のなのはさんに仕事を任せられる事はできないし、もしなのはさんに何かあったらフェイトが悲しんでしまうし。そうならないような分の仕事もあるにはあるけれど、それでもやっぱり、今のこの状態について説明を受けないかぎり、仕事を任せる事は出来ない。
「それは……」
「どうしたの?」
口籠るなのはさんに、私は再度確認するように問いかける。原因は一体何なのか、仕事を任せられるかどうかを見極める為に。
「今は……言えません、ゴメンなさい」
「今は……ね」
脆弱な声で呟くその言葉に、余程の事があることは窺えた。このままだとメンタル的な部分で考えても、例の事件に加える事は出来ない。となると……
「解ったわ。それじゃあ、とりあえず簡単な調査関連の仕事をしてもらおうかしら」
「調査……ですか?」
「えぇ。それならそんなに日にちもかからないでしょうし、早ければ1日ほどで終われるわよ?」
「1週間……」
「え?」
「出来れば1週間かかるぐらいの仕事につかせてください」
「1週間って……そんなこと出来ないわよ。なのはさんの休める日数は残り1週間なのよ? それなのに……」
「良いんです。とにかく、1週間は続く仕事が欲しいんです」
私の言葉に耳を貸さず、尚も食い下がるなのはさん。その様子から、私は娘のフェイトと何かがあったのかもしれないと、何となくだけど感じとった。それはきっと、なのはさんの真っ赤に腫れあがった瞳の奥に、絶望に暮れる色を見てしまったから。
「解ったわ、なのはさん。でも、最後に一つだけ聞かせて欲しいの」
「何ですか?」
「フェイトと……何かあったの?」
「……」
その言葉に視線を逸らして黙ってしまうなのはさん。これで、予想は現実だとハッキリする。
(あれだけ仲が良かったのに……いえ、仲が良かったから故、かしらね)
仲が良過ぎるがゆえに、一度亀裂が入るとそれは物凄い勢いで裂けていってしまう。ましてや、2人は6年間ずっと友達として、恋人として歩んできたわけだし、何かあった場合のショックはきっと、図りしてないぐらいのはず。
「そう、まぁ良いわ。とにかく、今日はもう帰りなさい。明日の放課後には用意しておくから、連絡を待ってて頂戴」
「……え? 今日からじゃないんですか?」
「そんな急には無理よ。ましてやこんな夜中になんて」
「そうですか……」
「とにかく、今日は帰ってもうお休みなさい。明日にはちゃんと用意しておくから」
「はい……」
今日からが良い、なんて言葉の裏には、それだけフェイトに逢いたくないという気持ちが強い証拠。これはどうやら大変な事になりかねないわね。とはいえ、親が娘とその恋人の事で口を出すわけにもいかないし……とにかく、まずはなのはさんの気持ちを落ち着かせるためにも、一旦仕事を与えて様子をみないと。
「じゃあ、お休みなさい」
「はい、失礼します」
無機質な声。まるで何かから逃げてるみたいにも感じてしまう。そして、一礼をしてなのはさんは帰っていった。
「さて……どうしたものかしら?」
とにかく、明日は帰ったらフェイトに話を聞いてみないと。あの二人の問題とはいえ、やっぱり母親としてアドバイスをしてあげたいし……あの二人には幸せになってもらいたいから。その為にも、まずは状況の把握と整理から始めないと。
「まずは、スケジュールの調整からね。私と……そしてなのはさんの」
そうして、私は再びモニターへと向かうのでした……
ようやくお互いの気持ちに気付けて恋人同士の関係に。
多少のズレと困難はあったみたいだけど……
それなりに順風満帆に進んでいた2人の関係。
だけど、そこに亀裂が起こった事を私は知る事になる。
なのはさんの言葉をきっかけに……
本局人事部の一室。この所の事件発生の増加に伴って残業が増え続けている今日この頃。慌ただしい日々にあってなのはさんとはやてさん、そして愛義娘のフェイトの3人を招集にかけるのをなるべく避けるように私、リンディ・ハラオウンはデスクのモニターを睨みながら悩んでいた。
「……どうしたものかしらねぇ?」
ポツリと零れたるその言葉も、今日で何度目かも解らない。ただ、刻一刻と時間だけが過ぎていくばかり。今回私が悩んでいるのは、ロストロギア……それも一級手配クラスの案件に対してSランク……つまり、フェイト達のように局内でも一線級の魔導師が2人以上必要なほどの危険な案件。すでにレティの方からヴォルケンリッターの面々の参加は決まったとの報せは受けてるけど、それでもあと一人、確実にと考えてしまう。だけど、3人とも出席日数の事もあるからあんまり頼めないのよねぇ……
「はぁ……困ったわぁ」
“ズズズ……”
「ふぅ……」
ため息ばかりだと先に進めないし、一旦一休み。そう思っていつものお茶を手にしてゆっくりと啜る。
“ピピッ ピピッ”
「あら?」
フッと一息ついたと同時に、通信が入る。どうしたのかしら?
“ピッ”
「はい、リンディです」
『あ、リンデ統括官。高町二等空尉がいらっしゃってるんですが……』
出ると、通信士の女の子が少し困惑気味に私にそう告げる。何かあったのかしら?
「なのはさん?」
『はい。それでリンディ統括官にお会いしたいと……』
「私に?」
『はい』
「そう。だったら通してあげて」
『かしこまりました』
「こんな夜更けにどうしたのかしら?」
なのはさんには卒業までは仕事を回さないという話もしてるし、自由待機という形でちゃんと説明もしてるはずなんだけど……
「まぁ、話をすれば解るでしょう」
それから程なくしてなのはさんは私の部屋へとやって来た。
「失礼します」
「いらっしゃい、なのはさん」
(あら?)
入ってきたなのはさんの表情を見て、私はすぐになのはさんの状態が尋常じゃない事に気付く。その表情はとても落ち込んでいて、目は泣き腫らしたのか真っ赤に充血してしまっていた。こんななのはさんを見るのはいつ以来かしら? だけども、これで通信士の子が困惑気味だったのが解った気がする。確かに、普段の凛とした佇まいのなのはさんからすれば、それに困惑してしまうのも仕方ないかもしれないわね。
「それで、こんな夜遅くにどうしたのかしら? それに、何だか泣いてたみたいだけど」
「あの……実は、何か仕事がないかなって思って……」
「仕事?」
思わぬ言葉に私は思わず唖然としてしまう。確かに、普段から仕事熱心だし頑張り屋さんだとは思うけど……自分の状況を鑑みずにこんな事を言うなんて、一体何があったのかしら?
「はい。何でもいいんです。とにかく、何か無いですか?」
「それは構わないけど……どうして急にそんな事を言うのか、教えてもらえないかしら?」
覇気の無い表情、気力のない声。こんな状態のなのはさんに仕事を任せられる事はできないし、もしなのはさんに何かあったらフェイトが悲しんでしまうし。そうならないような分の仕事もあるにはあるけれど、それでもやっぱり、今のこの状態について説明を受けないかぎり、仕事を任せる事は出来ない。
「それは……」
「どうしたの?」
口籠るなのはさんに、私は再度確認するように問いかける。原因は一体何なのか、仕事を任せられるかどうかを見極める為に。
「今は……言えません、ゴメンなさい」
「今は……ね」
脆弱な声で呟くその言葉に、余程の事があることは窺えた。このままだとメンタル的な部分で考えても、例の事件に加える事は出来ない。となると……
「解ったわ。それじゃあ、とりあえず簡単な調査関連の仕事をしてもらおうかしら」
「調査……ですか?」
「えぇ。それならそんなに日にちもかからないでしょうし、早ければ1日ほどで終われるわよ?」
「1週間……」
「え?」
「出来れば1週間かかるぐらいの仕事につかせてください」
「1週間って……そんなこと出来ないわよ。なのはさんの休める日数は残り1週間なのよ? それなのに……」
「良いんです。とにかく、1週間は続く仕事が欲しいんです」
私の言葉に耳を貸さず、尚も食い下がるなのはさん。その様子から、私は娘のフェイトと何かがあったのかもしれないと、何となくだけど感じとった。それはきっと、なのはさんの真っ赤に腫れあがった瞳の奥に、絶望に暮れる色を見てしまったから。
「解ったわ、なのはさん。でも、最後に一つだけ聞かせて欲しいの」
「何ですか?」
「フェイトと……何かあったの?」
「……」
その言葉に視線を逸らして黙ってしまうなのはさん。これで、予想は現実だとハッキリする。
(あれだけ仲が良かったのに……いえ、仲が良かったから故、かしらね)
仲が良過ぎるがゆえに、一度亀裂が入るとそれは物凄い勢いで裂けていってしまう。ましてや、2人は6年間ずっと友達として、恋人として歩んできたわけだし、何かあった場合のショックはきっと、図りしてないぐらいのはず。
「そう、まぁ良いわ。とにかく、今日はもう帰りなさい。明日の放課後には用意しておくから、連絡を待ってて頂戴」
「……え? 今日からじゃないんですか?」
「そんな急には無理よ。ましてやこんな夜中になんて」
「そうですか……」
「とにかく、今日は帰ってもうお休みなさい。明日にはちゃんと用意しておくから」
「はい……」
今日からが良い、なんて言葉の裏には、それだけフェイトに逢いたくないという気持ちが強い証拠。これはどうやら大変な事になりかねないわね。とはいえ、親が娘とその恋人の事で口を出すわけにもいかないし……とにかく、まずはなのはさんの気持ちを落ち着かせるためにも、一旦仕事を与えて様子をみないと。
「じゃあ、お休みなさい」
「はい、失礼します」
無機質な声。まるで何かから逃げてるみたいにも感じてしまう。そして、一礼をしてなのはさんは帰っていった。
「さて……どうしたものかしら?」
とにかく、明日は帰ったらフェイトに話を聞いてみないと。あの二人の問題とはいえ、やっぱり母親としてアドバイスをしてあげたいし……あの二人には幸せになってもらいたいから。その為にも、まずは状況の把握と整理から始めないと。
「まずは、スケジュールの調整からね。私と……そしてなのはさんの」
そうして、私は再びモニターへと向かうのでした……
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